喫煙は、発癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・心筋梗塞・脳梗塞をはじめ、美容にも悪影響を及ぼします。
平成20年4月より始まる特定健診・特定保健指導においても、メタボリックシンドロームと喫煙歴があると支援段階が厳しく判定されます。
これは、喫煙により肺内に多くとどまるCO(一酸化炭素)がヘモグロビンと結合し、血管内皮を障害するとともに、HDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進するためです。
日々の診察の中で禁煙の話題になると、かなりの割合で「軽いタバコ(低タール)」にしています!」と耳にすることがあります。これは大きな間違いで、タバコの葉の種類・量はほぼ同じで、フィルターの穴の数に応じてニコチン・タール量が反比例しているのです。

タール・ニコチン量が少ないタバコのフィルターを拡大すると、小さな穴がたくさんあいています。
※フィルター穴の数とニコチン表示量の関係
タバコの銘柄 |
表示ニコチン量 |
表示タール量 |
フィルター穴 |
セブンスター |
1.3mg |
15mg |
なし |
マイルドセブン |
0.8mg |
10mg |
49穴 |
マイルドセブン・エクストラライト |
0.3mg |
3mg |
100穴 |
マイルドセブン・ワン |
0.1mg |
1mg |
200穴 |
タバコの箱に記載しているタール・ニコチン量は、喫煙ロボットがフィルターの穴を塞がずに吸い込んだ、外気で薄まったわずか500ccの煙に含まれる量なのです。
しかし、人が吸うときには、このフィルターの穴は指や口で塞いで吸い込むので、結果的に濃い煙を吸い込んでいることになるのです。軽いタバコにしたからといって、喫煙本数が増えてしまった人は特に要注意です。

また、特に注目しなければならないことは、胎児・子供への影響です。
- 妊娠初期の母親喫煙は胎児の節約遺伝子が作動し、成人後の肥満リスクを高める。
- 妊娠中の母親喫煙により、攻撃的問題行動(ADHD)の子供が増える。
- 家庭での受動喫煙は、子供の行動異常・知能障害のリスクを高めます。
(知能低下は軽症の鉛中毒と同等)
喫煙者ご自身の健康状態を損ない、愛すべき家族たちにも重大な影響を及ぼす喫煙行動をニコチン依存症という病としてとらえて克服しましょう。