喫煙は、発がん・COPD（慢性閉塞（へいそく）性肺疾患）・心筋梗塞・脳梗塞をはじめ、美容にも悪影響を及ぼします。
平成20年4月よりはじまった特定健診・特定保健指導においても、メタボリックシンドロームと喫煙歴があると支援段階が厳しく判定されます。
これは、喫煙により肺内に多くとどまるCO（一酸化炭素）がヘモグロビンと結合し、血管内皮を障害し、HDLコレステロールを減少させ、動脈硬化を促進するためです。

日々の診察の中で禁煙の話題になると、かなりの割合で「軽いタバコ（低タール）にしています！」と耳にすることがあります。これは大きな間違いで、タバコの葉の種類・量はほぼ同じで、フィルターの穴の数に応じてニコチン・タール量が反比例しているのです。

人がタバコを吸うときには、このフィルターの穴は指や口でふさいで吸い込むので、結果的に濃い煙を吸い込んでいることになるのです。軽いタバコにしたからといって、喫煙本数が増えてしまった人は特に要注意です。

また、特に注目しなければならないことは、胎児・子供への影響です。

• 妊娠初期の母親喫煙は胎児の節約遺伝子が作動し、成人後の肥満リスクを高める。
• 妊娠中の母親喫煙により、攻撃的問題行動・ADHD（注意欠如・多動症）の子供が増える。
• 家庭での受動喫煙は、子供の行動異常・知能障害のリスクを高めます。
  （知能低下は軽症の鉛中毒と同等）

喫煙者ご自身の健康状態を損ない、愛すべき家族たちにも重大な影響を及ぼす喫煙行動をニコチン依存症という病としてとらえて克服しましょう。

禁煙の仕方には、大きく次の4つに分けられます。

• 自助努力によるもの
• ニコチン代替療法（ガム、ニコチンパッチ使用）
• バレニクリン（チャンピックス錠）
• 抗うつ剤（日本では禁煙目的での認可なし）

当院では、2のニコチン代替療法（ニコチンパッチ使用）と3のバレニクリン（チャンピックス錠）の内服を行っております。どちらを選択するかは、患者さま本人との面接の上、決めてゆきます。

禁煙治療：保険適用の対象となる条件

• ニコチン依存症のスクリーニングテストでニコチン依存症と診断された方
• 35歳以上の場合、1日の喫煙本数×喫煙年数（ブリンクマン指数）が200以上の方
• 直ちに禁煙することを希望している方
• 「禁煙治療のための標準手順書」にそった禁煙治療プログラムの説明を受け、このプログラムへの参加に文書にて同意している方

となっており、上記を満たせばすぐに禁煙プログラムを開始することが可能です。